Dear…愛する貴女よ
「ゆり・・」
ついに言った・・。
でも言ったところでどうなるってんだ・・。
ゆりはきっとオレを軽蔑し、もう二度と会いたくもないと思ってるだろう。
それが当たり前だ。
・・・妊娠のこと・・どういえばいいんだ・・。
こんな愛し方ってあるんだろうか・・。
女って・・強いと思う。
何の因果か、痛いのも傷つくのも・・女の方がはるかに多いんだろう・・。
オレが女だったら・・こんな意味の分からない状況・・どう理解するんだろう。
「・・・・」
廊下の壁掛け時計をみると、あれから5分たとうとしていた。
病室に入るのが怖い・・。
「啓くん・・」
病室の中から微かに声が聞こえた。
「入ってきて・・」
震えた手でドアを開ける。
「ゆ・・り・・」
うつむいていたオレはそっとゆりの顔を見た。