Dear…愛する貴女よ
「・・責めて・・どうなるの・・?何が変わるの・・?
人を責めて、傷つけても何も変わらないのよ・・。誰も得なんてしない。
最後に残るのは人を傷つけた後悔だけ・・」
「ゆり・・」
「そう・・啓くんのせいなんかじゃない・・」
わからない・・。
どうしてこんなに割り切れるんだ・・。
「啓くん・・?」
「オレは・・オレはどうしたらいいんだ・・」
大切な人に一生の傷を抱えさせてしまった。
絶対にあるはずがないんだ・・。
自分を傷つけられて平気でいられる人間なんて・・。
ゆりだって・・ゆりだってどこかで絶対に苦しんでいるんだ・・。
「ゆり・・ごめん・・オレ、今となったら何したって許してもらえるわけじゃないって思ってるから・・だから・・」
「ねぇ、啓くん・・啓くんは十分苦しんだわ・・。きっと私よりが思うよりもずっとずっと・・。一人で苦しんで苦しんで・・やっと私に言えたんでしょ・・?
私、そんな啓くん責めることなんてできない、殴れない、怒れない、軽蔑できない・・」
素直に現実と架空の区別がつくこと・・。
どんなに自分が追いやられた立場でも、冷静に対処して物事を考え言えること・・。
・・・そんな人間いやしないんだ・・。
どんな人間でも自分が淵に立たされたら動揺し、それから考えだすんだ。
ゆりはさっきの5分間で何を考え、どれほど苦しんだだろう・・。