Dear…愛する貴女よ
無気力
それから数日たったある日だった。
オレの愛するゆりが姿を消した・・。
あの日から家で養生していたゆりは日毎にいつもの元気を取り戻していった。
オレはそんなゆりの姿をみて少し安堵していた。
そんな少しの安心感からオレは妙な優しさをゆりにぶつけていたのかもしれない・・。
ゆりが姿を決してから、ものもロクに食わずに・・いや、食うのを忘れて捜し回った。
捜しているうちに気がついた・・。
オレ・・ゆりのこと何も知らない・・。
アイツの行きそうな場所、交友関係・・何一つ知らなかった。
そして、結局・・オレはゆりに妊娠の事実を伝えることができなかった。
オレは泣き続け、さらに乱れ狂った・・。
正気に戻るまで自分が何を思い、何をしていたのか、全く思い出せなかった。
ゆりのいない家に帰るのがいやだった。
いるはずもないのにゆりの姿がないとわかると涙目になってしまう。
オレは自分でも気付かないうちに、ゆりなしでは生きていけなくなっていた。
そしてその存在がないとまるで子供が母親を捜すように不安になり、涙を流し、泣きながら歩き回る・・。
結果オレは、2.3度の軽い入院を繰り返した。
その入院の間オレはゆりに自分の気持ちを告げていないことに気付いた・・。
少し時間がたったある日、とりあえず気休めの冷静さを取り戻したオレは、机の上に置き去りになっていた進路調査の紙を提出した。
第一志望は目的も何もなく・・進学にした・・。