Dear…愛する貴女よ





「啓ーーーーっっ」


とりあえずオレはまじめに学校に通っている。

毎朝起きるたびに「学校に遅れるよっ」って言ってたゆりの言葉が思い出されて・・。

いかないワケにはいかなかった。


「お前、最近またパン生活に逆戻りかー!?」

ゆりがいなくなってからまた昼飯はパンになった。

「お前んち今一人だろー?メシとかどうしてんだ?」

「・・・まぁ・・いろいろと・・」


そう・・オレは今家に一人きりだ。

結局、帰ってくるはずだった親父は一度も帰ってこなかった。

もちろんゆりが消えたことも知らない・・。


「啓、結局進路・・大学進学にしたんだろ?」


「・・ああ・・」


「オレ、コンピュータの専門学校いくことにしたよ。遊びでやってたパソコンにのめり込んでいってよーーっ」


「・・・」


「なんか将来はグラフィックとか扱う仕事に就きたいって思ってんだよーー。まぁ、夢だけどな!」


夢・・・。

オレは一体・・。






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