Dear…愛する貴女よ
もちろん悪いのはこのオレ。
親父の女に手を出した・・。
なのに、オレ・・今親父を目の前に何から話していいのかわからない。
だけど、その沈黙を最初に破ったのは目の前にいる親父だった。
「啓・・」
「・・・」
情けないことにオレはまだ声を出すことができない。
「・・大学、合格おめでとう・・」
「・・え・・?」
あまりに意外なひと言に少し動揺した。
「あ、ありがとう・・」
とりあえずお礼を言ってみた。
・・・。
違うだろ、オレ!
なにしてんだ、さっきから・・。
もっと言うべきことがあるって言うのに!!
「あ、あのっ!親父!オレ・・」
「啓」
言い出しかけたオレの言葉を親父が見事に遮った。
そんなオレの口は閉じることができずにマヌケに開いたままだった。