Dear…愛する貴女よ
そしてオレは親父から託されたゆりの手紙を改めて読み返した。
ゆりの想いを胸に刻む。
オレはずっと閉じていた目をパッと見開いた。
それとちょうど同時に分娩室の扉が開き、中から看護士が出てきた。
「氷室さん」
その腕の中には紛れもない小さな小さな命が抱かれていた。
オレはただ呆然とその小さい命を見つめる。
「おめでとうございます、女の子ですよ」
そう言った看護士は今さっき娘と紹介された赤ちゃんをオレの元へ連れてきてくれた。
そして、オレの腕の中にそっと渡した。
「お・・おんなのこ・・」
不慣れなオレの腕に抱かれている赤ちゃん・・。
・・・オレの・・オレの、子供なんだな・・・。
どうしたらいいんだろう・・。
この命がこんなにもオレに感動を与えてくれているなんて・・。
うっすら出てきた涙で視界が霞む。