Dear…愛する貴女よ
「な、なんだよ・・」
そんなゆりを恨めしく見てやった。
ゆりと出逢ってオレのキャラは崩されっぱなしだ・・。
「ねぇ、啓くん・・」
ゆりがオレに一歩近づいてきた。
オレの横で数日前に生まれてきた娘をオレが嫉妬しそうなくらい愛おしく見つめる。
「あの子はね・・私に望まれて生まれてきた・・」
衝撃を感じた。
オレとゆりのそもそもの核心・・・。
それは・・
「ゆりっっ・・オレ・・っ」
オレ・・お前が親父に宛てて書いた手紙読んだよ・・。
オレ・・手紙読んで・・
・・・お前に会いたくて・・。
あいたくて気が狂いそうだった。
「啓くん、私がお父さんに出した手紙読んだんでしょ・・?」
「え・・」
「お父さん・・あ・・違うね、
お兄ちゃんがね、啓くんにすべて任せたって電話くれたから・・」
『お兄ちゃん』
親父のことをそう呼ぶゆりに少し違和感を感じた。
当たり前って言えば当たり前のことなんだけど・・。
なんせずっと親父の女だと思ってたわけだし・・。
でもオレの親父はゆりにとって紛れもなく『兄』
そしてゆりがずっと好きだった相手なんだよな・・・。