Dear…愛する貴女よ



「啓くんも知っての通り、私ね、ずっとお兄ちゃんのことが好きだった・・」


・・・わかってるよ・・。

痛いくらい。


「初めて啓くんにあった日、私お兄ちゃんが出張にいってるって知ってたんだ・・」

そんな風に呟きながら少しうつむくゆりがいた。


「いないって知ってて家に上がり込んだの。
 ・・・ホント自分でもイヤになっちゃう・・。サイテーだよね・・」

きっとゆり自身自己嫌悪でいっぱいだったんだろうな。

でもオレは黙って聞くしかなかった。

なんでかな・・

なんとなくゆりの話を遮ることができない・・。


ゆりの気持ちを、ゆり自身の言葉で聞きたかった。


「そんな自分が嫌で仕方なくて・・あの日ひどく泥酔したの・・。
 お酒弱いのわかっててわざと飲み過ぎたんだ・・」


言葉にできない。

だってそのあとオレは、ゆりを・・


「・・・あの時ね、啓くんに抱かれたの・・・覚えてるよ・・?」


「!?」





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