Dear…愛する貴女よ
オレは後ろからそっとゆりを抱きしめた。
今にも折れてしまいそうな肩が小さく震えている。
「私ね、あのあとから啓くんとの今までの生活がすごく愛おしくて・・抱かれたからとかじゃなくて、ホントに啓くんのそばが一番安らいだの・・。
いままでだれとお付き合いしててもお兄ちゃん一色だった世界が啓くんに変えられた・・」
「ゆり・・・!!」
オレはぎゅっと強くゆりを抱きしめた。
「お腹の中に赤ちゃんができた時も・・とても愛おしかった・・」
抱きしめるオレの手に涙が一粒おちた。
この涙の意味を・・
オレは知っていた。
それは愛おしく感じると同時に思ったオレの未来。
バカなヤツ・・。
そんなこと考えなくてもいいのに。
オレのために涙流すなんて・・バカだよ・・。