Dear…愛する貴女よ
「こないだ受けた全国模試の結果だよ」

そうして彼女はその紙を開いて見た。

「・・す、すごーーーーい・・どの教科も全国でトップクラス・・」

「・・・」

ゆりは紙をのぞきながら呆然としていた。

そう、オレは自分で言うのもなんだが・・頭がいい。

勉強は嫌いじゃない。

だから学校側もこんだけオレがサボっても何にも言ってこないんだろう・・。

「啓くん、頭よかったのね。知らなかったよ、ちっとも」

そりゃ、オレの成績アンタが知ってたら怖いよ・・。

「つーわけだから、もうほっといてくれ」

「それとこれとは別よ。学校行かなきゃ友達とか心配してるよっ、ホラっ」

ゆりはあまり迫力のない厳しい顔つきでオレを見ながらオレの寝ている布団をはぎ取った。

「・・ちっ」

ダメだ・・。目が冴えちまった・・。

くそっ、めんどくせー・・けど、出席日数でも稼ぎにいくか・・。はぁ・・。



「・・・・」

「・・オイ・・着替えるから出て行けよ!なに?それともここで見てんの?」

オレは少しイジワルを言ってみた。

ゆりの顔は徐々に紅潮していきオロオロとしだした。

「きゃーーっ、ごめんなさいっっ」

自分の両手で両頬を押さえながらパタパタと逃げ走っていった。

・・なんだよ・・ちょっとかわいいじゃねーか・・。

ん?アイツ22だったよな・・。オレの周りの女よりはるかにウブいんだけど・・?

・・新鮮だなー・・。

つーか、あの反応、オレがまるで変質者じゃねーか。

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