たとえ誰かを傷つけても
「なに?」

「親友の頼み聞いてよ!」

「だから・・・何?」

「りーちゃん誘って遊びに行く計画立ててくれ!」

「あー? 自分でやれよ(冗談じゃない)」
俺はそっぽを向いた。聞ける頼みと聞けない頼みがある。
りーちゃんがらみは・・・パス!!!

「つめてーじゃんよー にいちゃん!」

柊真がからみつく。なにがにいちゃんだ! 同じ16才だろ!
ただ、お前より一カ月早く産まれただけだろーが。しかも俺よりも頭1つもでかいくせに! でもこれが俺にものを頼むときのこいつの口癖・・・

「俺シャイなの知ってんだろ?」

「どこが!」

俺は柊真の顔をにらみつけ、皮肉たっぷりに言ってやった。

「お前、無茶かっけーじゃん。ルックスいいわ、足長いわ、センスいいわ、金持ちだわ、背も高いわ・・・」

「八神君、なに卑屈になってんの?」

「うるせぇ! 寄ってくる女も半端じゃねーし。今も何人付き合ってる女がいるんだよ?」

卑屈になってるわけじゃない。でも、こいつといると時々空しい思いをすることは・・・ある。俺になかなか彼女ができないのはこいつのせい・・・だよな。この上、りーちゃんまでも?



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