たとえ誰かを傷つけても
「八神君に会ったんでしょ? 月曜日に喫茶店一緒に行ってたの知ってるよ。でも、りーちゃん教えてもらえなかったって・・・その後も、瀬川君に聞いてくれる様子ないし・・・じゃあ、私が直接聞くって言ったらちょっと待っての繰り返し・・・一体どういう事よ!」

りーちゃんはうつむいてしまった。
そうしながら、どう言おうか迷っているように目線を泳がせていた。香山ルミはそんなりーちゃんを探るように見た。

「もしかしてりーちゃん、いつも言ってるのは嘘で、本当は瀬川君のこと好きなんじゃないの?」

「ち、違う!」

りーちゃんは顔を上げると思いっきりかぶりを振った。
と、とたんに俺の肩に乗せていた柊真の手に思い切り力が込められた。


「い、いてぇ!」

俺は思わず叫んだ。
その瞬間彼女達がこちらを振り返った。
そして、驚いたように二人の目が見開かれ・・・
香山ルミは俺の後にいる柊真を見つけ、慌ててその場からかけだした。


あーどうしよう・・・

思う間もなく柊真が俺の肩を突き飛ばした。
そして、走り去る香山の後を追いかけた。
その際振り返るとかすかに唇を動かして俺に言った。



「いったい、どういうことだよ」

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