たとえ誰かを傷つけても
俺は放心状態で二人の後ろ姿を見ていた。
しばらくして気がつくとりーちゃんも俺と同じようにボーっと突っ立っていた。

「中谷・・・」

俺はりーちゃんに呼びかけた。
りーちゃんはゆっくりと視線を俺に向けると、フゥーと小さくため息をつき校舎の壁にすがった。

「中谷が柊真のメアドを知りたがってたのは、香山に頼まれたからだったんだ・・・」

「うん・・・」

りーちゃんは小さくうなずいた。

「だったら、どうして香山が柊真に直接聞くのを止めたり・・・」

俺は口をつぐんだ。




「しょうがないじゃない・・・」





そりゃそうだよな・・・

「八神君が、あんな事いうんだもん」

「・・・柊真が君のこと好きだって・・・」

「そうだよ!」

りーちゃんは俺をにらんだ。

「瀬川君が私のこと好きだって事知ってるのに、ルミに直接聞いたらなんて言えない・・・結果は分かってるじゃない。」

「うん・・・」

俺はうなずいた。
その通りだ。
俺がりーちゃんでも止めるよな・・・

俺ってもしかしてすっごく馬鹿?
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