たとえ誰かを傷つけても
頭の中が真っ白になる・・・というのはこのことなのかな・・・
しばらくは何も言えなかった。




うれしい・・・






しばらくして心の奥底からわき上がってきたのはこの感情だった。

うれしい・・・うれしい・・・! 

俺の大好きなりーちゃんが俺のこと好きだって・・・
こんな嬉しいことが他にあるか? 
俺は喜んで俺の気持ちをりーちゃんに伝えようとした・・・

でも・・・その時浮かんだのは・・・
封印の二文字・・・

馬鹿! ここでりーちゃんの気持ち受け入れてどうすんだよ! 
柊真は? 
俺、あんな卑怯なコトしたくせに、りーちゃんに

『俺も君のことが好きだったんだ・・・』

なんてシラッとした顔して言えるのかよ?







「冗談だろ?」

俺はりーちゃんから目をそらしていった。

「八神君・・・」

消え入りそうなりーちゃんの声がする。
胸が痛い・・

「何言ってんだよ。柊真が中谷のこと好きだって言っただろ? 俺は・・・悪いけど中谷には興味ないよ」


うつむいた目の端にりーちゃんがかけだしていく足元が見えた。
なにやってんだ俺・・・

また泣きたくなってきた。

でもこの胸と同じくらいりーちゃんと柊真の胸も痛いのかもしれない・・・


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