あまのじゃくな彼女【完】


朝9時、予定より早めにスタジオへと着いた。

早めに出てきたつもりだったけど、アシスタントの人達が着々と準備を進めているようだ。


「おはようございます」

挨拶をしながら、邪魔にならないよう隅の方をすり抜けていく。
きっと責任者の山下さんはもう来ているはずだ。キョロキョロとスタジオを見回した。


「あ、吉村さん!おはようございます」

「おはよう、伊達君。これ差し入れです」

山下さんの下で企画をすすめている伊達君。童顔の可愛い顔でお姉さま方に人気だ。後輩として山下さんより遅くなる訳にはいかなかったのだろう、随分早くから来ているようだった。

「わ、ありがとうございます!ここのどら焼美味しいんですよね」

このわんこのような笑顔には誰だって癒されるはずだ。

「お茶に合わせて和菓子にしてみたの。休憩のタイミングで出してあげてね」


おそらく1日がかりになるであろう物撮り。休憩には甘いものが欠かせないから、朝一で近所の和菓子屋に寄ったのだ。

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