あまのじゃくな彼女【完】
山下さんのとんでもない発言に思わず顔が赤くなる。とにかく何か言わなくちゃ。
「山下さんったら勝手な事言って。あ、の」
「勝手に勘違いして困るよな、あいつ。今度ちゃんと否定しといてやるから安心しろ」
ふぅっと軽く息を吐くと、呆れるように係長が言った。
強く否定するのも失礼だし、なんだか曖昧な返事で誤魔化す事しかなかった。
ようやく合った係長の視線はどこかよそよそしい。いや、職場なんだから当たり前なのか。
ダメだな、今は仕事中なんだから。
「楽しみにしてたんだろ?しっかり撮影見ていけよ。監督に挨拶してくるわ」
私の困った態度に気付いたのか、係長はさりげなくその場を去っていった。