あまのじゃくな彼女【完】
私の左側に立つ係長は野太い歓声に驚き、呆然と舞原さんを眺めていた。
「係長、知らなかったんですか?」
私の呼びかけにふと我にかえったようで、おぉ・・・と呟くとお茶を口にした。
「あの人、さっき挨拶行った時はあんなんじゃなかったぞ」
「あぁ、それ狙われてますよ係長。舞原さん気になる人には最初、猫かぶってますからね」
「ま、マジか・・・」
顔がひきつる係長は、そっと舞原さんから隠れるように身体の向きを変えた。
「ふふっ、でも舞原さん仕事はちゃんとする人ですから。撮影終わるまでは大丈夫ですよ」
「それ、大丈夫って言わねぇだろ」
ガクッと項垂れる係長。もう口調が普段のになってるのは、余程衝撃的だったからだろう。