あまのじゃくな彼女【完】
「はいおっけー!」
舞原さんの掛け声と同時に自然と沸き起こる拍手。
試行錯誤の末、無事物撮りを終えた。予定より長時間の撮影となり、みんな疲労の色が隠せない。
その分仕事をやり遂げた充実感もひとしお、良い顔をしている気がする。
「舞原さん、ありがとうございました。お陰様で良いものが出来そうです」
責任者の山下さん、係長が舞原さんに握手を求める。
「いいえ、こちらこそお蔭で納得いくものが撮れたわ」
満足そうに頷く舞原さんは、2人の差し出した手に順に応じた。
「また現場撮影ではよろしくお願いします。それで、当日のモデルのデータなんですが・・・」
あれ、とカバンを漁る山下さん。
「悪い吉村!伊達がデータ持ってると思うから、貰ってきてくれる?」
「わかりましたー」
伊達くんならアシスタントと一緒に撤収作業をしているはずだ。
急いでスタジオを後にした。