あまのじゃくな彼女【完】
「んもー・・・どこまで行ったのよ」
どんどん廊下の奥まで進んできてしまったけど、それらしい人は見つからない。
撤収するにもスタジオ周辺の部屋にしか荷物を置いていないから、そう遠くには行っていないはずなんだけど。
思った以上に手間取り、思わず眉間にしわを寄せながら、廊下の両脇を見渡しながら進む。
と、わずかに開いたドアの隙間から光が漏れ話し声が聞こえた。
もしかして伊達君?・・・と扉に近づくと
「あぁー疲れたぁ・・・マジ無いわぁ、今日長引きすぎだろ」
「だよな、俺この後約束あるんだって。マジありえねぇ」
声からして舞原さんのアシスタント達のようだ。
職場で何なんだその言いぐさは!と物申したいところだけど、正直それどころじゃない。
こんな集団に伊達君が居る訳ない、と今来た方向へとクルっと身体の向きを変えた時だった。