あまのじゃくな彼女【完】
強い嫌悪感、そして侮蔑。
こんなしょうもない人たちと仕事していかなきゃいけないなんて最悪だ。
顔から表情が消えていくのを自分でも感じた。
「何でお前がふるんだよ、よっぽどやらせてくれなかったとか?」
「んあ?まぁ似たようなもんだけどさ。あいつ、厚かましいっていうかさぁ・・・」
「今日みたくでしゃばってきちゃう感じ?」
「つーか、“可愛くない”んだよアイツ」
それまでのどす黒い感情すら消え去るように、体の芯がキンと冷え渡り思考も動きもすべてが凍るようにかたまった。
「まぁ可愛いっていうよりはキレイ系だよな」
「ちげぇよ、なんつーか男をたてないっていうの?可愛げないし女らしさも足りねぇし、付き合っててもつまんねぇんだもん。やってらんなかったわけ」
早く耳をふさがなくちゃ。
早くここを動かなくちゃ。
気持ちとは裏腹に動くことを放棄した私の両足。焦点の合わない目でぼうっとそのつま先を眺めていた。