あまのじゃくな彼女【完】
掴まれたままの手をぐいっと引かれ自然と身体の向きが変わると、そのままの勢いですっぽりシュンちゃんの懐に顔をうずめる体勢になった。
「お前はただ好きな男のためにやっただけだろ。何も悪い事なんてしてねぇ。お前は何も悪くない・・・だから自分はダメなんて言うな」
そう話しながらゆっくり私の背に両腕を回した。私を逃がさないように、だけど優しい強さでくるまれる。
全身で感じる体温が心地いい。
耳元でなるシュンちゃんの胸の音があったかくて、それが何より嬉しかった。
「私・・・ダメじゃない?」
「ダメじゃない」
「でも変わらなきゃいけないでしょ、私」
「あ?無理に自分を変える必要なんてねぇよ。大体あんな奴より良い男、ごまんといるわ」
「そうかなぁ、私の代わりに酔っ払い倒してくれる人いるかな」
「おぉそんなのゴロゴロいる。大体お前が男知らなすぎるんだよ」
「ふふっ、そうだね。シュンちゃんみたくいっぱいは知らないし」
「お前、それ関係ないだろコラ」
抱きしめられていた手で軽く頭を小突かれ、自然に笑いがこぼれる。
「ありがとう、シュンちゃん」
そっと胸を押し距離を取ると、今度はちゃんと顔を見て話した。
私の顔を見ると、納得したようにシュンちゃんはそっと私を解放した。
「お前はお前で良いんだよ」