あまのじゃくな彼女【完】
「なーに言ってんだめいちゃん、強ぇなんてもんじゃないよアイツ」
聞き捨てならん、と勢いよくタケさんがずいっと顔を寄せてきた。
「あいつ剣道始めたの小学生3年位で早くもねぇんだけどよ。とにかく呑み込み早くて数ヶ月で宏太負かしちまって。あん時の宏太のへそ曲げっぷりはひどかったぞぉ」
「嘘だー宏太先生、めっちゃ強えじゃん。負ける訳ねぇよ」
「バカ言え、宏太だって昔は弱かったんだ。1回や2回負けとるわい」
タケさんの言葉に大地が噛みつく。普段宏兄にしごかれている大地には信じがたいのかも。
「んま、結局は良い練習相手が見つかったって宏太の機嫌も直ったけどな。そんであいつら県大会勝って、地方大会でも入賞しちまったからなぁ」
腕組みしながらうんうんと頷くタケさんは、どこか自慢げだ。
しかし昔から強い強いと思ってたけど、そこまでの実力だったとは。
思わずテーブルの向かい遠くに座るシュンちゃんをしみじみと眺めてしまう。確かに昔のシュンちゃんは頼れるお兄ちゃんで、納得の戦歴だけど。今じゃうさんくさい女たらしだからなぁ・・・