あまのじゃくな彼女【完】
ぼーっと眺めているといつの間にか視界からシュンちゃんが消えていた。それに気づくと同時に頭上から声がする。
「何見てんだよ」
ぺしっと私の頭をはたくと、タケさんと向き合う席・私の隣によいしょっと腰を下ろした。
「み、見てないよ。自意識過剰じゃないのシュンちゃん」
「めい、良い事教えてやろう。お前は昔から嘘をつくとき鼻がひくつくんだ」
バッと慌てて両手で鼻を隠す。う、うそだぁ。
そんなやりとりを見てぶはははっと豪快に笑うタケさんは、ドンドンとテーブルを叩きグラスのビールを揺らした。
「タケさん!うそ、ほんとなの!?」
鼻を隠す手はそのままに思わず叫ぶ。シュンちゃんと反対から大地が面白そうに覗いてくるのを必死に体で阻止する。
「ははっ、シュンそれ言ったらもうめいちゃんからかえないじゃねぇか」
「大丈夫だよ。めいは教えたってなおせっこないから。」
「うそぉお!!え、ねぇいつからなのそれ。いつ!」
「面白かったぞぉ。道場で誰がアイス2個取ったんだって問い詰めたら、“宏兄じゃないのー”とか言いながらめい鼻ひくつかせてんの」
「何それ、どんだけ昔の話よそれ!!」
恥ずかしい・・・っ!どんだけ昔から私の嘘バレバレだったのよ!
タケさんと一緒にゲラゲラ笑いながらグラスを傾けるシュンちゃん。すっかり二人とも出来上がってるようだ。