あまのじゃくな彼女【完】
Side *隼人*
先生と宏太に挟まれるよう腰をおろすと、手早くビールグラスを渡される。
宏太とは一緒に呑みに行ってたけど、こうして先生と酒を呑むのは親父と呑んでるみたいで何だか照れ臭い。
「シュン、お前コーエンに入ったんだな」
「はい、決めてましたから」
「そうか。お母さんは元気にしてるか」
「おかげさまで。よろしくと言ってました」
そうか・・・と、遠い目をした先生がグラスに口を付ける。隣にいる宏太も空気を読んでか、無理に話に入ってこようとはしない。
おばさんに誘われた時は正直そのつもりなんてなかった。昔を思い出して近付き過ぎてもツラいだけだ。
でもやっぱり、ここは居心地が良い。
「あいつは、芽衣子はどうだ。ちゃんと仕事できてるか」
「大丈夫ですよ、めいなら。仕事出来ますし、後輩のフォローもしてくれます。上司としては有難いですね」
「そうか・・・あいつは突っ走る所があるから。シュン、悪いけど見ててやってくれな」
「はい、もちろん」
先生に言われずともそのつもりだ。
娘の心配をする親心はごもっとも。あれだけ無鉄砲な芽衣子の事なら尚更だろう。