あまのじゃくな彼女【完】
「おいこら、もし仕事の連絡あったらどうすんだ社会人」
「だってオフィスもう閉まってるでしょう?」
日付を超えるまであと1時間、この時間じゃオフィスはセキュリティがかかり容易には入室できない。わざわざ警備の人を呼んでまで・・・って程じゃないからなぁと思案した。
「おい、俺を誰だと思っているんだ」
チャリっとセキュリティ用のキーを見せてにやり笑うシュンちゃん。
そうでした、立派な係長さまでした。
セキュリティ用のキーなんて借りれる代物ではないから、結局はシュンちゃんに付き添いをお願いすることになってしまった。
シュンちゃんなら両親の信頼も厚いもので、「芽衣子なら襲われても大丈夫だと思うんだけどねぇ。一応女の子だし、シュンちゃん悪いけどお願いね」と失礼な物言いながらお母さんからご丁寧に任されていた。
オフィスに戻りデスクを確認すると、書類の間に埋もれるように携帯が隠れていて、待ち合わせ時間直前にシュンちゃんからもメールが入っていた。
警備員さんに挨拶を済ませると、帰宅を急ごうと裏口を出た所だ。