あまのじゃくな彼女【完】
宴会の翌日、そこそこの二日酔いを引きずりつつもいつも通り出社した。
「おはようございます」
数時間ぶりの自分のデスクにつきパソコンを立ち上げる。何気なく視界の隅にあったデスクを見るけど、いつもどおりの姿はなく。その主は珍しくまだ出社していないようだった。
「おはよう芽衣子」
にまーっと企むような顔で由梨がこちらを観察していた。
「係長来てないの、珍しいわよねぇ・・・気になる?」
「そうなんだ?め、珍しいねぇ」
見ていたのを誤魔化すように惚けてみるけど、由梨には効果なし。嬉しそうな顔して話を続けた。
「どうやら風邪みたいよ?熱出たらしいって課長が話してたわ。芽衣子、お見舞い行ってあげたら?」
「な、何で私が!」
「あらぁ、昨日仲良く一緒に帰ってたのは誰かしら。隠そうとしても無駄よ」
“しめしめ”って表現がしっくりくる獲物を見つめるかのような由梨の笑顔。恐るべし。
これは千葉さんにもバレてるんだろうなぁ・・・と、昼休みにむけて覚悟を決めた。