あまのじゃくな彼女【完】
「結婚、しましょうか?」
びくぅぅっっっ・・・
人間、驚きすぎると声が出ないらしい。
自分でも無意識にでた一言を、まさか拾う人がいるなんて思ってもいなかった。
しかも、拾った人がまずい。
「吉村さんがそんなに結婚したかったとは、意外ですね」
男は腕を組み、すらっと長い脚をかるく交差させ、ねこっ毛頭を壁にもたれさせながらいつもの柔和な笑顔をこちらにむけていた。
「んなっ・・・ゕ、係長。まだいらっしゃったんですかっっ」
顔がかあぁぁっと熱くなるのを感じた。
こんな、私らしくもない発言を聞かれるなんてっ!!!!
はっ・・・恥ずかしすぎるぅぅあぁぁ!!!!
「えぇ、部下が残っているのに帰れる訳ないでしょう?」
恩着せがましいような事を言っているようで、そう聞こえないのがこの男のすごい所だ。
ほら、"うさんくさい"。