あまのじゃくな彼女【完】
予想以上の部屋だった。
12階からの眺望は遮るものなんて無く、モダンな照明は間違いなくデザイナーものっぽい。カウンターキッチンもおしゃれな色づかいで、1人暮らしには明らかにもて余す広さだ。
にしても、もったいない。
そう思わせる程、シュンちゃんの部屋は殺風景だった。備え付けの物であろうものは凝ったおしゃれな物ばかりだけど、リビングにあるのは小さなテーブルとソファ・テレビのみ。しかもその上には書類や服が山を作っていた。
まじまじと部屋を観察している間に、部屋の主はリビング奥の別の扉へと入っていた。
扉の隙間からそーっと覗くとそこは寝室らしく、窓際に大きめのベッド。そこには、布団をめくるでもなくその上からシュンちゃんがバタっと倒れこんでいた。
「シュンちゃん、布団着ないと。ほーら」
んんっと不機嫌そうに唸るのを無視して、手こずりながらも背の高いシュンちゃんを押しやる。身体の下から布団を引っ張りだしどうにか整える頃には、ふぅっとため息が出た。