あまのじゃくな彼女【完】
ふと気付いた。
この香り・・・シュンちゃんのだ。
リビングでは気付かなかったけど、寝室にはいつもの優しくてスパイシーな香りが広がっている。
シュンちゃんの部屋に居るんだ・・・と今更自覚して1人焦る。
いやいや、ただお見舞いに来ただけじゃない。何勝手に照れてんだ、私。
とりあえず任務を果たそう。
雑念を振り払うよう看病にいそしむことにした。
「シュンちゃん、何か食べた?ゼリーとか買ってきたけど」
「んー」
だるそうにどっちともとれない返事を返される。
「薬飲んだの?」
「んー」
「あぁーもう。体温計は?」
んーと唸りながらサイドテーブルを指差し、ようやくまともな反応が得られた。