あまのじゃくな彼女【完】
立ち上がった瞬間にぐいっと引っ張られ、勢いのままに枕元にしゃがみこむ。見れば虚ろな目をしたシュンちゃんがぼんやり私を見ている。
「どこ・・・行くんだよ」
「え、飲み物取ってくるんだよ。のど渇くでしょ?」
今度こそ立ち上がろうとよいしょっと膝に手をやったけど、掴まれた腕は外れない。
「・・・ダメだ」
「へっ?」
「お前は・・・ダメ」
虚ろにでも開いていた目はすっかり閉じられ、高熱のせいか念じるように意味の分からない事をつぶやいている。
「何、スポーツドリンクじゃだめなの?何か欲しいの買ってこよっか?」
必死そうにつぶやく声を聞き逃さないよう顔を近づけ耳をそばだてた。