あまのじゃくな彼女【完】
「それで、吉村さんは結婚しないんですか?」
「・・・へ?」
いつの間にか高遠は、芽衣子のすぐそばまで近づいていた。
「営業の佐藤が言ってましたよ。“男がいるなら早く言えっての。勘違いさせるなよな”とかなんとか」
「・・・あんのヤロウ・・・」
あのバカ男、どこまでバカなんだ、何様だ!!
うろ覚えの佐藤の顔を、脳内で往復ビンタする。
「くすっ・・・やっぱりね」
高遠は、そっと芽衣子のコーヒーを取り上げた。
バカ男への怒りに夢中でカップを奪い返すこともせず、高遠も淡々と話を続けた。