あまのじゃくな彼女【完】
「帰るなら自分の車があるだろうが。それに日高さんだっているんだ、俺が行く必要ねぇだろ」
「何よ隼人のケチ。私の相手だって立派な仕事でしょう?」
ふん、と椅子に踏ん反りかえる女性は遠目に見てもかなりの美人だ。その艶やかな髪からも、全身隙のない美しさがにじみ出ている。
「綾江、高遠さんだって他の仕事があるんでしょうし」
「なによ、日高さんも隼人の味方ってわけ?いいのよ、この仕事断ったって」
「お前なぁ・・・」
呆れと怒りをにじませながら、ガクッとスーツの肩を落とすのが見える。
何だか興味をひかれる展開に思わず身を乗り出していると
ガタっ
大きな音を立て扉が大きく開いてしまった。