あまのじゃくな彼女【完】
ふーん、と興味のなさそうな相槌をうつと
「ねぇ・・・・・・隼人から離れてくれない?」
今度はしっかりと私の方へ顔を向けて言った。
「妹みたいに守ってきたあなたがいると、隼人は傍を離れられない。ほんと勝手な責任感よね。だから未だにあんな係長なんかに留まってるのよ」
だからだったのね・・・と1人つぶやくと、至極淡々と綾江さんは話をつづけた。
「あなた入社して何年経つの?」
「あ、4年目です」
「そう、ならあなたにもわかるでしょ。一緒に働いてみて、あの人がいるべき所が。彼はもっと上に立つべき人間よ」
街灯が窓ガラスのむこうを走り、その灯りですら綾江さんの美しさを彩るように見えてしまう。
それくらい凛と話す彼女の姿はキレイだった。
「あなたが隼人をダメにするの、だから彼から離れて」
わかったわね?と子供に言い聞かせるよう念を押すと、それから綾江さんが口を開くことはなった。