あまのじゃくな彼女【完】
『吉村 芽衣子です。よろしくお願いします』
4年前うちの部署にきた新人達の中に姿を見つけた時、自分の眼を疑った。
髪は長く伸び化粧で大人びた印象だったけど、勝気な目と凛とした立ち姿は昔のままだった。
俺がコーエンに入ることは宏太や先生にも結局言わなかったし、まさか俺を追ってきたのかと疑った。
まぁそれは完全にうぬぼれだったわけで。
1か月、半年、1年・・・そして3年。
どれだけ経っても芽衣子が気づくそぶりは全くなくて、それならそれでただの上司としてあいつを見守ろうと決めたんだ。
〝高遠係長”としての俺であれば、芽衣子を幻滅させることはなかったから。
大学の頃にはそれなりに彼女も居たけど、就職して仕事に没頭していくなかでは単に面倒な存在でしかなかった。
それなりに楽しく、それなりに満たされ、それなりに過ごせばサヨナラ。
そんな女がちょうどよかった。
女に不自由する事も無かったから、そんな適当な事を続けていけた。