あまのじゃくな彼女【完】
飛び石の上をコツ、コツとたどっていくと縁側前にほとんどのスタッフが集まっていた。
「あぁん、いたいた!めぇちゃんお久ー!」
「舞さんお久しぶりです、よろしくお願いします」
いつもはちょっとめんどくさくなる舞原さんのしゃべりにも、今日ばかりはほっとさせられる。
ここは仕事場。今から撮影。
私情をはさんじゃいけない。
そう言い聞かせ仕事に集中するように、撮影アングルから母屋をまじまじと見た。
「ほぉんと・・・良い建物ね。今の技術でも真似できやしないわ」
「えぇ、本当に。圧倒されちゃいます」
建具を全開にした居間は縁側から風が吹き抜け、高い吹き抜けの天井では黒光りした太く立派な梁がその大きな屋根を支えている。梁はうねうねと湾曲し、自然の形のまま活かされている所がまた味わい深い。
居間の向こう、建具のガラスからも生い茂る緑が見えそこだけ切り取っても作られた作品のような美しさだ。
「ここなら、どっからどう撮ろうと画になるってもんじゃないのぉ」
「ぷっ、それじゃ困りますよ舞さん。最高のもの、作ってください」
任せなさい!っと言わんばかりに、舞原さんは親指を立てグッと掲げた。