あまのじゃくな彼女【完】
3 :
フロアの端にあるコピー室は冷える。
機械があるからか暖房は弱いし、端にあるせいか窓ガラスから伝う冷気にぐぐっと肩があがる。
機械の熱にすがるようコピー機に抱きつくような不思議な格好で、淡々と紙を吐き出す様をぼーっと眺めていた。
「芽衣子!ちょっと、紙切れエラーよ」
「えっ・・・あ。」
世話のやける・・・とぶつぶつ言いながらさっさと紙補充する由梨は、やはり頼れるお母さんみたいだ。
ぼんやりした頭ではとりあえず礼を言うのがやっとで、再開された紙の排出を再び見守った。
「芽衣子、あんたどうしたのよ。こないだまで張り切って仕事してたかと思えば、ぼーっとしちゃって」
「そうかなぁ、ぼーっとしてる?」
コピー機から由梨へと視線を移すと、心配するような怒ったような顔で私を睨みつけていた。
「あんた、何があったのよ?いい加減ちゃんと話しなさいよ」
「大丈夫だって、こないだの撮影で疲れてるだけ」
その答えに間違いはなかった。けど、なんで疲れたのか・・・って言われると心の整理が追い付かず説明できない。