あまのじゃくな彼女【完】
はっっ!と突然弾かれるように顔をあげると、由梨はガバッと両肩を掴んできた。
「まさか、また森枝にバカな事吹き込まれたんじゃないわよね?」
「へ・・・?」
思いもしない名前に、思わず目を丸くする。
「芽衣子が可愛くないとかあり得ないから!確かに男前過ぎな時もあるけど、ちゃんとあんたはいい女よ。自信持ちなさい」
射抜かれる程の強い眼差しで、まるで言い聞かせるみたいに見つめられる。
そんな由梨の優しさに思わずあったかくなって、自然と口角があがる。
「ありがと、由梨。でも大丈夫、森枝現場に来てなかったから」
ぽかんと拍子抜けした顔を浮かべる由梨に、思わず笑いが漏れた。