あまのじゃくな彼女【完】

あの夜・・・ちゅっと音をたて唇を離した後。

高遠係長は実に淡々としていた。


「あぁ、もうこんな時間なんですね。吉村さんは電車でしたよね、駅まで送りましょう。明日は月例会議ですしね、早く帰らないと。僕は1度、会議室見回ってこないといけないので先に降りておいていただいていいですよ」

芽衣子の飲みかけのコーヒーをぐいっと飲み干すと、唖然とする芽衣子をおいてけぼりに、自分はさっさと給湯室を出ていった。



「・・・は・・・へ?」


はっ・・・!!と我にかえると、既に高遠の姿は見えなくなっていた。

働くのを放棄しそうな頭はぐるぐる無限ループにはまっていたけど、ここに居てはいけない事だけは気づいた。

とりあえずカバンと携帯を握りしめ、パソコンの電源が落ちるのも待たずにオフィスから逃げ帰った。

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