あまのじゃくな彼女【完】
古民家での現場撮影、涙でぐちゃぐちゃになった私は結局ほとんど車内で休んでいた。
社会人としてあるまじき、っていうのは重々承知。それでも、何て事ない顔してあの場にいるなんてもう無理だった。
なんとか涙を止めメイクを直し、私が車を出る頃には撤収が始まっていた。撮影を終えた綾江さんは既に別の仕事へと向かった後で、心底ほっとした。
「あらぁめぇちゃん、もう大丈夫なの?」
「舞原さんすみません、ご迷惑おかけしました」
せっかく呼んでもらった仕事で何の働きもせず、寧ろ迷惑かけ気をつかわせる・・・って。
自分の情けなさにため息がこぼれる。
「良いのよう。しっかし係長さん、やっぱ頼もしいわねぇ。愛ね、愛」
「そんなんじゃないですよ。上司として部下の心配してくださっただけです」
また溢れそうな涙を堪えるよう、奥歯をぐっと噛みしめた。