あまのじゃくな彼女【完】
その翌日は、とにかく仕事に集中した。
係長に頼まれる前に仕事は全てこなしたし、どうしてもチェックが必要なものは係長が不在の時に置いておいた。
私の仕事っぷりに周りは引き気味で。
「ぬぁあああっっ」って漏れそうな声を我慢してたら、般若みたいな形相だったと後から聞かされた。
そうでもしてないと、うっかり思い出してしまいそうだった。
あの優しい香り、額に触れる茶色の猫っ毛、細いシルバーフレームに囲まれた二重のくりっとした瞳。
うっかり思い出すと、かあぁぁっと顔だけ体温が上がるのが自分でもわかる。
いかんいかん!!
あんの"うさんくさい"男っ!!意味わかんないっっ。
何であんな事するのよ!!
一発殴ってやればよかった!!!!
私らしくもないっっ!!
由梨も、何事か聞きたそうな顔して、痛ぁーい視線を送ってきたけど、まともに説明できる自信もなくて、シラをきりとおした。
そんな芽衣子をよそに、あの男どこ吹く風。
新人の女の子がミスしたのを先方に謝罪に行って、結果取引条件upさせてきやがった。
いつも通りの"THE・パーフェクト"。