あまのじゃくな彼女【完】
「社長も隼人が係長に修まってるのを気にしているの。それなのに隼人、また異動を断って・・・あなたにだってわかるでしょう?幼馴染として、社員として支える気があるなら、隼人がしかるべき所で働けるよう身を引いてちょうだい」
「え・・・?」
社長?異動?しかるべき所?
綾江さんの突拍子もない言葉に何一つ理解できず、思考のすべてがフリーズする。
私の困惑した表情に気づくと、今度は綾江さんがかたまる番だった。
「あなたもしかして・・・何も、知らなかったの?」
私が何も反応できないでいるのを確かめると、厳しい顔のまま呆れるように深いため息を落とした。
すらりと長い腕を組み顔を少し傾けると、まるで罪状でも言い渡すみたいに恐ろしくも威厳ある顔で告げた。