あまのじゃくな彼女【完】
8* 本当のはじまり

1 :


Side *隼人*


ポン、とエレベーターが目的の階へ着いた事を知らせる。


「隼人さん、さぁお先にどうぞ」

本来のビジネスマナーなら自分が開けておくべき所、こうして先に降ろされる事にももう慣れた。

自分よりいくつも階級が上のお偉いさんに取って付けたような笑顔で会釈すると、遠慮なくエレベーターを降りた。




重役室ばかり行き来する最上階。

ガラス張りの廊下からの眺めは素晴らしいけど、やはりここの雰囲気は好きになれない。


キレイな秘書を連れ、ご機嫌伺いに勤しむ重役達。
欲にまみれたオヤジ達がその汚い出世欲をひた隠し、こんな若造にペコペコする。


全く・・・少し前まで、汚い物でも見るような目で俺を見ていたくせに。



ヘドが出る。

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