あまのじゃくな彼女【完】


「それで、何だ。お前の言う“やるべき事”とは。それくらい聞いてやろう」

社長は組んだ手はそのままに、視線だけ動かし俺の発言を促した。



「今回のCM、シリーズ物にしようと話が出ています。中途半端は嫌なんです。せめてそれが軌道にのるまでは、このまま今の「話にならんな」」


俺の話を聞く姿勢を見せながら、その先の言葉を許さず割って入られた。


この人はいつもそうだ。
歩み寄るような素振りで近付き、相手が気を許した隙に強引に事を進める。


今に始まった事じゃないじゃないか・・・

“人の裏側”なんて知らなかった楽しいだけの頃をふと思い出し、しんみりと浸ってしまいたくなる。


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