あまのじゃくな彼女【完】
2 :
どんよりと薄暗い雲が広がる空は、雨が降りそうで降りきらずどうにもすっきりしない。
冷えた風はほんのりと湿っぽく頬にまとわりつき、暗く沈んだ気持ちをより鬱々とさせる。
ふと足を止め見上げると近代的なガラス張りのわが社。
この会社が好きで仕事を続けてきたけど、初めてそれを否定したくなった。
「仕事・・・やめよっかな」
その気もないのに出た言葉に思わず苦笑する。
どんなに残業が続いても、どんなに腹の立つクライアントに会っても仕事の面白さの方が超えて来るのだ。
何を今更。
・・・ほんと、今更知るなんて。
自分の間抜けさに情けない気持ちとどこか寂しい気持ちを引きずり、エントランスをくぐった。