あまのじゃくな彼女【完】
いつもの時間にオフィスへ着くと、出社している人間はさほど多くないものの何やらざわめいていた。
出社している社員たちが一角へ集まり、みんなでモニターを覗き込んでいる。
「おはようござます。山下さん、何かトラブルですか?」
「違うよ!ちょっ吉村、これ見てみろよ!」
黒山の中央にいた山下さんが焦るようにしてパソコンのモニターを指差す。
みんなの間をすり抜け、どれどれと覗き込むと
いつかは・・・と覚悟していた現実だった。
『 高遠 隼人
〝企画課 係長”の任を解き 〝海外事業部 部長”を任ずる 』
「すげーよなぁ係長!やっぱ出来る男は出世早いなぁ」
「でもいきなり部長でしょ?そんなのってアリなの!?すっごい」
「やっぱ係長すげぇよな、吉村・・・おい、吉村?」
軽く肩をゆすられはっと意識を取り戻す。
「えっ・・・あ、すごいですね。さすが係長」
「お前・・・大丈夫か?」