あまのじゃくな彼女【完】
由梨に付き添われトイレで涙が止まるのを待った。
泣きながら嗚咽をこぼし
「シュンちゃ・・・っ・・・異動っで・・・!」
会話として成立しない私の発言をどうにかくんでくれた由梨は、とりあえず大事があったと理解してくれたようだった。
「シュンちゃんがらみってことね。よしよし、ちゃんと聞くから」
頭を撫でられイイコイイコされ、更に涙腺が緩みそうになるのをぐっとこらえる。鼻水も垂れそうになるのをずびずびとすすり、まるで小さな子が泣きべそかくような悲惨な状態だった。
結局朝礼にも間に合いそうもなく、由梨のフォローでゆっくりメイクを直してから戻ることにした。
幸い、私が既に出社していることはみんな知っていたから遅刻にはならないし。
涙で滲んだマスカラを押さえファンデーションでごまかす。
どうにか人前に出られる程度に整えオフィスに戻ると、既に係長は席を外していた。
「異動の件で係長、忙しくなるみたいよ。早速挨拶回りだって」
由梨の言葉に気が抜けると、強張っていた身体は脱力し勢いのままイスに座りこんだ。