あまのじゃくな彼女【完】
パンッパンッ、と私に並んで神棚に拝むと、宏兄はにやけた顔をひっこめスイッチを入れる。
「よし、んじゃ始めるぞ」
「はい!よろしくお願いします」
宏兄へきちっと挨拶をし、朝稽古へとうつった。
仕事が休みの土日、都合があえば私は宏兄に朝稽古をつけてもらっている。
小さい頃から当然のように始めた剣道。高校でも部活に入り、どっぷり剣道漬けだった。
大学でも続けるつもりだったけど、残念ながら大学の剣道部はなんちゃって部活で、練習もまともにしていなかった。
そんなのに入るぐらいなら、自分ちの道場で教室に混ざっているほうがマシ!
というところで。
こんなだから、周りから『武士』とか言われても否定出来ないし、おっしゃるとおりです・・・としか言いようがない。
就職してすぐの頃は、仕事が忙しく教室に混ざれなくって。
「あぁ・・・し、竹刀ぃぃぃ!!」って感じで発狂しそうだった。
いや、もう声に出しちゃってた。
それから始まったのが、宏兄との朝稽古。
元々自主練を続けていた所に、予定のない土日はお邪魔させてもらっている。
空気より軽ーい男だけど、剣道に対してはいつも真摯。
そんなだから、宏兄の事嫌いになりきれないんだよね。