あまのじゃくな彼女【完】
シュンちゃんの顔は瞬時に強張り、息をのむのがわかった。完全に言葉をつまらせ静かな空気が広がる。
今度こそとどめをさした。
「跡継ぎだなんて、そんな大切な事っ。私がどれだけ悩んだか分かる?もう・・・何が本当なの?・・・シュンちゃん意味分かんないよっ」
一体これまで見てきた“シュンちゃん”は誰だったのか。
私が好きだった“シュンちゃん”はそもそも本物?偽物?
いるの?いないの?
まるで幻と過ごしてきたかのように、幼い頃の思い出さえも泡のように呆気なく消えていくように思えた。
「“大切な事”・・・か?」
私の思いの丈が空を切るように、思いがけない返答に耳を疑う。