あまのじゃくな彼女【完】
「跡継ぎって事は、そんなに大切な事か?」
馬鹿げた質問だと思った。
何言ってるのよ、この人。そんな重要機密、隠されてた身にもなってよ。
「当たり前じゃないっ!そんな大切な事・・・知ってたら私だって」
「こんな風には接してくれなかった?」
シュンちゃんの言葉が私を遮った。
その顔には驚きはなく『あぁやっぱりな』って。
全てを諦めてしまったような顔からは表情が消えつつあった。
「俺も最初から隠してた訳じゃない。そもそも最初は跡継ぎになる予定なんてなかったから。それが急に・・・先に変わったのは俺じゃない、周りの人間だよ」
虚ろな瞳は彼のこれまでを語るようで、深い深い闇に包まれていた。
そんな彼の意外な様子に溢れ出る怒りのやり場に困る。