あまのじゃくな彼女【完】

3 :


広い道場の中、ずらりと並ぶ道着の背中。
その後ろ少し離れた所、みんなに倣って正座する。



「ありがとうございました」


稽古終わりの挨拶を済ませると一斉に立ち上がり帰り支度を始めた。

小学生の子ども達はまだまだ体力があり余っているようで、はしゃぎながら道場を走りまわっている。
その際限ない体力に呆れつつ、無邪気な様子に何だかほっとする。


私と言えば久々に稽古に付き合ったおかげで汗だくだ。化粧なんてそもそもしていないので遠慮なく顔の汗をぬぐう。


脇に置いた竹刀や面を手に立ち上がるのに、自然とよいしょっと声が出る。


「おぉ、芽衣子今日はありがとな」

「んーん。私こそ突然ごめんね」



小学生達の指導にあたっていた宏兄も、玉のような汗をかき手拭いはぐしょぐしょだ。

幼い門下生達は激しい稽古は少ない分、楽しめるよう工夫した稽古を考えなければいけない。その上、ケンカしたり上手く稽古に参加出来なかったりで気遣う所が多い。




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